居場所をください。

終わりが始まる。




***


「うわ、すげー人。

あれ全部美鈴待ちってこと?」


「そうだよ。」


会場手前の信号で捕まり、

会場裏の駐車スペース入り口には

かなり多くの人が集まっていた。


「車、変えてきて正解でしょ。」


「……だな。」


車のナンバーもれっきとした

個人情報だからね。

予め会社で車を借りてきたんだ。

長曽我部さんの許可をとってね。

社員でもないのに社用車。

でもナンバーはしっかり私のデビューの日。

これは私のマネージャーの車のはず。


「美鈴こそ、助手席で良いわけ?」


「いいじゃん。デートだもん。」


「ならいいけど。」


貴也はそういって

青信号に変わると会場へと車を進めた。


「仕事の顔でね。」


スモークなしの運転席と助手席。

会場につく前から私たちは仕事モードON!


「うわー、やば。ウケる。」


車内ではそんな貴也の発言が聞こえるけど

私はもう外に手を振るので必死。


そんなこんなでなんとか柵は越えた。


「人が多すぎてやりにくいわ。」


「窓開けなかっただけでも感謝してよ。」


「いつも開けんの?」


「まぁね。」


そんか会話をしてると

予め連絡しておいたから

佐藤さんが車までお迎えに来てくれて

私たちは裏口に車を止めて

さっさと車から降りた。


「車は俺が止めとくから

とりあえず中入っといて。」


ってことで、とりあえず

外で名前を呼んでくれてる子達に

もう一度貴也と手を振って

「キャー!」なんて声も聞きつつ、

中へと入った。



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