居場所をください。
もう少しで誕生日です。



私と貴也の噂がすっかり収まった4月下旬。


「美鈴~新曲完成した。」


「うわー、やっとだね。」


親や…家族、施設のママのことを想って書いたHOMEと

貴也に彼女ができてやけくそで書いた居場所をください。


なんだかんだこの2曲好きだな~。


「このジャケ写、俺のお気に入り。」


「長曽我部さん、前回も言ってたよ?」


「まー俺が決めてるから当たり前か。

この美鈴の切なそうな表情がすげーいい。」


「苦労したもんね、これ。」


「勝手に貴也と両想いになってたからな。」


「はは、そうだね。」


「……………誰かにあげるか?」


「うん。

社長と、ママ。」


「社長?」


「だめ?」


「いや、いいよ。」


お母さんにも…聴いてほしかったな。


「貴也にはあげねーの?」


「え、なんで?」


「なんでって彼氏だろ。

しかも2曲目、貴也のことを書いたんだろ。」


「そうだけど…」


「ま、貴也ならあげなくても

自分で買うと思うけどな。」


……………なんなの、そのにやけた顔。


「気持ち悪いけど。」


「は?誰にいってるかわかってんの?」


「長曽我部さん。」


「腹立つわ。」


「あっそ。

ってか22時過ぎてる。帰るよ。」


「あぁー!明日はライブのリハだから!」


「はいはい、わかりました。

9時にきまーす。」


私は会社を出た。


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