未来が見えない『Previously invisible』
⑧⋅⋅⋅新たな命
樹‥‥side


やっと、やっと、仕事に区切りが出来
帰国出来ることになった。
本格的にこっちで、やってみないかと
言われたが、日本の会社の方も
あるし、考えることにした。
もう、俺一人では、決められない。
琴音や月紫の気持ちも大切にしたいから。

空港に到着して
回りをみると
老夫婦の元で、座っている
女性が、目に入り
“琴音だ”と、すぐに気づいた。

その老夫婦は、いっそう
琴音に近づこうとしたから
俺は、慌てて
駆けつけた。

「琴音、俺だ。」
と、自分をわからせた。
琴音は、俺とわかると
体の力が抜けた。

すると、月紫が
「パパ!!」
と、言った。
ああ、月紫が言い出しっぺだな。
と、思った。

俺は、月紫を匠君に任せて
琴音を抱き上げて
会社の人間に、また会社でな
と、挨拶すると
琴音が、下ろせと言うから
おろすと、会社のやつらに
挨拶を始める・・

会社のやつらは、顔を真っ赤に
しやがって‥‥

俺は、見るなと威嚇した。
匠君と月紫は、呆れ
琴音から、叱られたが
嫌なものは嫌なんだ。

増してや、こいつら
世界中のモデルを見てるくせに
琴音を美しいと、大絶賛で
煩い!

俺は、急いで
月紫と匠を連れて
琴音を抱えて帰った。

車の中で
「パパ、びっくりした?
月紫やママが、空港にいて。
嬉かった?」
と、言った。

「ああ、びっくりしたし
すごく、嬉しかった。
ありがとうな、月紫。
迎えに来てくれて。」
と、言うと

月紫は、
「エヘっ」
と、言った。
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