ピュア・ラブ

3

アパートに着くなり、私は、パソコンを開いた。
猫のトイレ、ご飯と必要なものを買い揃えなくてはいけない。
口コミを読みつつ、一気にネットで買う。
キャットフードやミルクだけは、獣医と相談しよう。もしかしたら、病気で指定の食事しか出来ない可能性もある。

「あとは、トイレの置き場所を考えなくちゃね」

私は、ガラにもなくウキウキしていた。猫が来る。そう思っただけで、暖かい気持ちになれた。
子猫の頃は、食事する場所のすぐ傍にトイレを設置した方が良いと、書かれていた。子猫はトイレまでの距離がないがいと、間に合わないらしい。

「ふふ、そうよね」

さほど広くもない部屋をぐるりと見渡す。
やはり、食器棚を移動して、そこにトイレと食事場所をつくったほうがいい。
家財道具は少ない。移動は簡単だ。
自分なりに充実はしていたが、支える何かが出来たことが、嬉しい。
世の中は金が全て。信じる物は金だけだった。自分で稼ぎ、自分の為に使う。人は裏切るが、金は裏切らない。
だが、モモは別だ。モモだけは違う。
モモが暮らしやすい環境を作ってやりたい。生まれたばかりで、あんな辛い目に逢ったのだ。これからの生きる道は、楽しくさせてやりたい。

「あそこの出窓……モモのお気に入りになりそうね」

アパートの二階の角部屋が私の住居だ。
出窓から差しこむ日差しは柔らかくてとてもいい。花を飾っていたが、猫が来るならそれも出来なくなる。
猫の好きそうな、もこもこの生地でも買って、敷いてあげよう。
私は、今から来るモモの姿を想像しては、楽しんだ。
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