魅惑な彼の策略にはまりました
⑤乙女は軽くない



休みが重なった月曜、私と宗十郎は本当にデートをする運びとなった。

と言っても、仕事の関係でお世話になった社長の招きで、ヨーロッパ家具とインテリアのショールームにふたりでお邪魔しただけ。

宗十郎はフリーランスだし、知り合いが増えることはいいことだろうと、声をかけたのだ。よし、デートするぞ!と意気込んで来たわけじゃない。

けして、宗十郎の言うところの初デートを実践しにきたわけではないのだ。
そこのところは、声を大にして言っておきたい。

ムード作りなんてまっぴらごめんなので、服装はどこか仕事の延長といった雰囲気でやってきた。
キャメルのトレンチに白のニット、黒のスリムパンツという私の装いは、隙もなければ甘さもない。

うん、それでいい。
変な期待をしていないっていうアピールになる。

宗十郎はグレーと黒のファーがモコモコついたショート丈のジャケットにラインの入ったジャージ素材のパンツ。ハードなレザーショートブーツ。
中性的なのに、男アピールを忘れない。

いわゆる、オシャレ男子にしか使えない小技をふんだんに盛り込んだスタイル。
たぶん、私よりずっと若く見えるだろう。
< 62 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop