御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中

愛情ゼロ、離婚予定あり

28年間生きてきて「えええ?」と驚くことは片手ほどだったが

今日一気に両手並みの「えええ?!」を体験した。


社内イチ、いやTVに出てからは芸能人並みに人気が出てきた

同期の鈴城君が寝ぼけたことを言っていると思うほど

突拍子もないこと言うもんだから

驚きと同時にこの人どっかで頭でもぶつけたのかとさえ思った。

それくらいのええええな爆弾発言だった。


私が鈴城君の悪口を言ってたから嫌がらせ?

だけど当の本人は相変わらずのイケメンスマイルで

冗談を言っているような顔ではない。

顔の事を言えば

私の方がひどい顔をしているだろう。

「冗談ですよね?」

眉間にしわを寄せながら質問する私に

「冗談じゃないよ。本気だよ」と鈴城君は笑顔を見せず淡々と返事をする。

だけどどう考えても信じがたい話。何か裏があると思った。

「会話らしい会話は今日が初めてですよね」

「そ~だね」

鈴城君は表情一つ変えずに答える。

「私が鈴城君の悪口を言っていたのは~しっかり聞いてらっしゃったんですよね?」

「もちろんこの耳でしっかり聞いてたよ。だって俺、あんたの斜め後ろの席にいたからさ」

鈴城君は私達の座っていた席を指さした。


「えええ?」
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