青と口笛に寄せられて
1 自分の世界を変えたい。


いくら警察の人に、とはいえ。
言いたくなかった。


私が北海道へ旅行に来た理由を。
あのショッキングな出来事と、転落人生を。


笑われるのは目に見えてるんだもの。
しょーもない女だな、って。
くだらない、とか思われそうで言いたくなかった。






私は2週間前、付き合っていた恋人にフラれた。
そしてその3日後、社会人としてめちゃくちゃ非常識なのは分かってるけど、最低最悪だって分かってるけど、会社を突然辞めた。
さらに言うと、1人暮らししていたアパートも速攻引き払った。
八王子にある実家に出戻った。


だって付き合っていた恋人っていうのは、同じ会社の同僚で。
フラれたキッカケっていうのがまたドラマチック。
実家暮らしの恋人が入り浸っていた私のアパートの部屋で、浮気相手とイチャこいてる場面に遭遇したのだ。


忘れもしない、雨の日。
大学時代の友達と飲んでくるから終電で帰る、って当時の彼氏である怜に伝えていた。
彼は「分かった。ゆっくりしておいでよ」っていつものようにヒラヒラと手を振った。


でも、偶然にも約束していた友達2人に急用が出来てしまい(1人は体調不良、1人は身内の不幸)、飲み会はナシになった。
で、おのずと私は早く帰ることになったわけだ。


怜を驚かせようって連絡しないで帰ったのも悪い。
でも自分のアパートに帰るだけなんだから、別になんの問題もないと思った。
週末だし、怜が来てることは分かってたことだから。
コンビニで缶ビール4本とおつまみをいくつか買って、「2人で飲も!」って笑顔で帰った。


< 5 / 257 >

この作品をシェア

pagetop