恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

ウォッカマティーニとゴードン

琥珀色の照明だった。


バー【garden】は欧風の雰囲気で、落ち着いたお洒落なお店だった。


暗めの照明はセピア色に少し黄色を混ぜ込んだ、アーバン色。


「あ、来た来た」


入って右奥のカウンター席でニットワンピース姿の小春と、スーツ姿の堀北さんがひと足早く乾杯しながら待ってくれていた。


「お疲れ様です、陽妃さん」


「須藤、久し振り」


まだムシャクシャがおさまらなかったあたしは、バーテンダーにビールを注文しながら小春の隣に座った。


そして、


「ごめん、これちょうだい」


と小春の飲みかけのビールを一気に飲み干した。


そんなあたしを見て、ふたりが同時に吹き出す。


「どうしたの、陽妃さん。何だか機嫌悪い」


「何だ、今夜は荒れてるなあ」


「ええ、まあ」


荒れに荒れて、大荒れだ。


というより気分が晴れない。


「何かあったんですか?」


小春に聞かれて、ため息をついた。


「ちょっとね。ここに来る前、変な男がいて」


「変な?」


小春が面白そうにあたしの顔を覗き込む。


「ナンパでもされたか」


堀北さんも例外ではない。


「いい男だったか?」


好奇の目をあたしに向けてくる。


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