籠姫奇譚

鏡の前で、伸ばした黒髪を丁寧に櫛ですく。

唇を紅で彩って、白粉を叩き、簪(かんざし)をさす。


「珠喜、お客だよ」


「はい、ただいま」


女将の言葉に、鏡の前に座っていた女はゆっくりと立ち上がった。








< 41 / 94 >

この作品をシェア

pagetop