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日勤の始業前に行われる手術部の朝礼に、神崎は八割方、出席するようにしている。

オペ看がメインで行うものなので、ドクターの朝礼参加は、絶対強制ではない。

けれど、全く参加しないようだと「わたしたちと連携する気がないのね」と師長陣に目をつけられてしまうので、実際のところは半強制のようなものだった。

相手にどう思われるかなど気にとめない性分の神崎ではあるが、師長陣に嫌われると、なにかと業務に支障をきたす懸念があり、その方がのちのち面倒なことになる。

女とは、年を重ね、さらには権力を得てくると、底知れぬ恐ろしさと幅の利かせを持ち合わせるようになる生き物であることは、世間でも周知の事実だ。

朝礼は、自動ドアを一枚挟んでオペ室に隣接する、受付前スペースで行われる。

日勤担当のオペ看が総勢約30名、列をなして並んでおり、その前に向かい合うようにして、神崎を含むドクターたちと、師長クラスの看護師らが立っている。


「本日のオペ、アルコールアレルギーのある患者がいますので、十分注意してください」


オペ看リーダーが、今日分のオペに関する注意事項を、集まっている全員に向かって発信している。

その注意を耳にしながら、神崎はふっと目を細め、オペ看の群れに視線を向けた。

大勢の中にまぎれているものの、目的の人物はすぐに見つかる。

一人だけ、黒いオーラを背負っているからだ。