リセットボタンの妖精と
第2章 妖精
《赤いボタンには気をつけろ》
二人分の声だった。
「ん??誰かいるのか?」
辺りを見回すけど誰もいない。気のせいだろうと思ってボタンに手が触れた時、また声が聞こえた。
❮おねぇーちゃん。あいつ馬鹿なの?❯
男の子の声が聞こえた。
<しー。聞こえちゃうでしょ!>
お姉ちゃんと呼ばれた女の子の声がそれに答えた。
❮あいつ馬鹿だって!❯
<そう…だね。>
❮おねぇーちゃんもそう思ってたよね!❯
<あ。でも、大きい声出したら…。>
「うるせぇーよ!ってか、誰だよ。」
俺は思わず叫んでしまっていた。
《ごめんなさい。》
二人分の声は謝ってきた。それと同時に申し訳なさそうに謝ってくる女の子と男の子の二人の姿が見えた。
「君達、誰なんだ?」
俺は突然現れた二人に聞いてみる。怖がらせないようにそっと。
《えーっと…。》
二人は声を揃えて言った。
<私達はreset buttonの妖精みたいなものです。>
女の子が答えた。
「リセットボタン?」
俺は聞き返した。
❮no-no-. reset button.発音が違うよ!❯
<発音はおいといていいから。リセットボタンというのは、龍様が今持っているものです。>
男の子と女の子が説明をしてくれた。
なぜか説明中にほんの少しの違和感を感じたが気にも留めずに次の言葉を発していた。
「これ、リセットボタンって言うんだな。」
❮でも、君には驚いたよ❯
男の子が言った。
「なんで?」
俺は不思議に思った。
<驚いた理由は二つあります。
一つ目は、リセットボタンを手にとったことです。
二つ目は、私達をみて逃げなかったことです。>
女の子は丁寧に説明してくれた。
❮今までreset buttonを手にとった人いなかったからね。❯
続けて男の子が言った。
❮ひどい奴はreset buttonを壊してくれたおかげで僕らは、1ヶ月の長期入院になったし。❯
「うわー。ってお前らにも響くのか。」
俺は驚いた。
<ええ。一応、リセットボタンの妖精なのでね。>
そしてなんとなく納得した。
❮僕らを見て逃げるときに、子供とかは、『うわうわー。くんなよー。近づくなー。』とか『気持ち悪い…。』って言われたり『ごめんなさい。ごめんなさい。何でもするから近づかないで』って泣きながら言われたりしてさ。いくら僕らでも傷ついたよ。❯
男の子は悲しそうに言った。
<なのに龍様は、全然驚かなかったので私たちが驚きましたよ。>
女の子は少し笑いながら言った。
ん??そうだ、そういえば。何で俺の名前知ってんだ?
俺は疑問に思い少し恐怖を覚えた。だから、本人達に聞いてみることにした。
「ところで、何で俺の名前知ってんだ?」
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