キミに恋の残業を命ずる

2

もう会うことはないと思っていたのに、いったいなんの用だろう…。

もしかして、ドジで残業ばかりのわたしを見かねて、上司として指導を入れるとか?残ってエクセル操作の勉強をしろって命じるとか?


ああ…もしそうなら情けない。小学生じゃないんだから…。



エレベーターは使わず、開発部のある三階へはのろのろ階段でむかった。


開発部は新製品の開発だけでなく、その改良やユーザーサポートなども行っていて、同フロアにある営業部と企画、改善などで連携をとっている。

我が社の未来を担う部門がそろった三階はまさに花形フロアで、「他は以前の内装のままなのに、三階だけはカーペットもパーテーションも新しくて特別扱いだ」っていつも先輩たちが文句言ってたっけな。

このフロアだけは普段でも残業する社員が多くて、いつも数名は残っていることがあるみたいだけど、今日は真っ暗だった。
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