甘く苦い、毒牙に蝕まれて
自覚する気持ちと、離れる気持ち





【まひろside】



日が経つにつれ、私は強く自覚する気持ちがあった。




「おはよ、まひろ」


「おはよう、万桜」



一緒に過ごすうちに、私は実感した。




彼が……万桜の事が、好き。


呼び名は「如月くん」から「万桜」になった。



席が隣同士だからか、話す頻度も多い。




たまに放課後も、彼と一緒に過ごす事がある。


「今日、一緒に帰ろう」って急に誘ってきて、私の返事も聞かず「行くよ」と強引に手を引いて、走って連れ出してくれる。



それが私は、嬉しかった。



< 89 / 200 >

この作品をシェア

pagetop