恋するサクラ
ライバル登場



 それから、何度か佐倉さんに呼び出されて店に行った。

 佐倉さんの店は私の家からそんなに遠くないので、便利だった。

 それにしても佐倉さんの花に対する愛情はハンパない。

「やっぱり名前が佐倉だから、桜の花には特別な物がありますね」

「私もそうですよ」

「そっか、森野さんも下の名前が桜だから、そうですよね」

 佐倉さんは春になると、いろんな桜の名所めぐりをするらしい。

 実は忙しくなる前の私も、同じことをしていた。

 こう言うところで、つながりを感じるのはとてもうれしい。

「そう言えば、僕の名前、呼びにくくないですか?自分の名前と同じだし」

「あははは 少し」

「恭吾って呼んでください」

「え?!……あの、じゃあ、恭吾さんで」

「わ、なんか照れますね。でもうれしいです」

 ねえ、その笑顔、勘違いしちゃうよ。

 ほんと、マジで。
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