恋するサクラ
展示会の日




 そして展示会当日。

 自分のイラストがどんな風に使われたのか気になった私は、真紀を誘って展示会を見に行った。

 中に入った瞬間、恭吾さんのあふれる愛情が伝わってくるようだった。

 私のイラストを生かして活けられた花々は、展示作品を際立たせていた。

 純粋に展示品を見に来た人はたぶん、この花々のおかげで展示作品が際立っているなんて気が付きもしないほど、その場になじんでいる花々。

 これがプロの仕事なんだと思い知らされる。

 そしてその会場の隅っこに、満足そうに展示会を見渡している恭吾さんがいた。

 前に出ることもなく、多分、この会社の人でさえ恭吾さんの存在を忘れているかのように、ひっそりとしていた。

「恭吾さん!」

「森野さん、来てくれたんですね」

「あたりまえです!」

「森野さんのイラストのおかげで、すてきな展示会になりました」

「恭吾さんの活ける花のおかげです」
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