恋するサクラ
プロポーズ






 そして付き合って5年が過ぎ、しびれを切らした恭吾さんは、バラの花束を抱えてやってきた。

「少女マンガの王道みたいな出会いだった僕らだから、ここまでしないと返事もらえないかなと思って」

「な、なに?」

「なにじゃない!森野、本気で僕との結婚、考えてくれないかな」

 とうとうはっきり言われちゃった。

「そんなにいやか?僕と結婚するの」

「いや、そう言うわけじゃ……」

「名前なんて気にするなよ」

「気にするよ!いっそ恭吾さんが、森野恭吾になるって言うなら結婚するよ」

 あーあ、言ってはならんことを、とうとう言っちゃった。

「ごめん、それは……」

「うん、ごめん、何でもない」

 恭吾さんはバラの花を私に押し付け、「今日は帰る」と、帰って行ってしまった。




 今までも何度かケンカしたことあったけど、あんな顔の恭吾さんは初めて見た。
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