逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
シンデレラは不敵に踊る

 天空の間と呼ばれるそのフロアは、室内管弦楽団とピアノの音色、そして人々の歓談する声でたいそう賑わっていた。

 だが、この場の主役であるはずの基は退屈していた。

 顔はもちろん笑顔を作ってはいるが、その心はおそろしく冷めていた。


「はい、ありがとうございます。精進いたします。……ええ、おそれいります」


(俺は「おそれいりますマシーン」かよ。どんだけおそれいらなくちゃいけないんだよ。)


 都内の外資系ホテルのフロアを借り切って行われている誕生パーティーの招待客は、三百人を優に超えている。
 その招待客が列をなして基の前に来るのだ。

 いい加減挨拶のバリエーションもそこをついてくる。



< 40 / 322 >

この作品をシェア

pagetop