逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
御曹司の不埒極まるジェラシー

 翌日。沙耶は朝一番の出勤前に秘書室へと向かっていた。一応秘書室に電話をかけ、在席しているとの返事をもらったうえでの訪問である。

 それでも、掃除婦のユニフォームを着ていないと、なんだか場違いな気がする。


 緊張しながらドアをノックすると、
「どうぞ」
と、すぐに返事が返ってきた。


「失礼します」


 沙耶は秘書室に入って、デスクでパソコンと向き合っている神尾の前に立った。

 秘書室に来るのは二回目だが、基がコーヒーをぶちまけたせいだろう。カーペットが違うものに変わっていた。


「朝早くに申しわけありません」
「いえ、大丈夫ですよ。あなたにはいろいろ、基様関係で迷惑をかけていますし……」


 エリートサラリーマン風の神尾は、いかにもできる秘書なのだろう。沙耶の突然の訪問に嫌な顔一つせずにっこり笑ってキーボードから手を離し、私服姿の沙耶を見上げ立ち上がった。




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