浅葱の桜
紅蓮の中で
「ーーーーよし」
1通り泣いてしまった私。
もうこれ以上は泣かない。
私は縛られた紐を解こうと手を伸ばした。
ん……、暗くてあまり手元が見えない。
触った感覚でもどこを解けば綺麗に取れるのか、検討もつかなかった。
「嘘でしょ」
あの親父、肝心なところで手を抜かないんだから!!
バタバタと足を揺らすけど空間が開く素振りも見せない。
自害や他の人に危害を加えないようにかこの部屋には刃物など縄を切れそうな物は備えられてない。
蝋燭の火で焼き切る手は思いついたものの、その火の油が切れてしまった。
万策、尽きたな。
情けないこと言ってる自覚はある。けど、私の低脳じゃこれぐらいしか思いつかなかった。
柱に縛られなかっただけマシなのかな……とかこの場で落ち着く判断さえしてきた。
いやいや。駄目でしょ。ききに言ったことを本当にしなければ。
沖田さんの所に行くかどうかは置いておいてここから出ないと。
半分跳ねるようにしながら障子に近づく。
あと一歩で廊下に出られる……!
そう思ったのに、バチッと手が痺れながら弾かれて外に出れない。
その瞬間、私の目の前が真っ暗になる。
これじゃ、どう足掻いても出れない……。