浅葱の桜
九条河原《沖田side》
「お、久しぶりだな」
「……どうも」
そういえば。
今までこんなにこの人たちと離れたこと、無かったな。
江戸に居た頃から大体近藤さんの道場に入り浸ってて、毎日顔みてたし。
「土方さん」
「あ?」
「見ない内に老けました?」
言った途端に頭の中に星が散る。
「って!」
「るっせーよ。テメェは黙って話に付き合えばいい」
「……どうせ愚痴なんでしょう」
ハァ。この人、話し出すと長いからなぁ。
近藤さんたちは離れたところで会津藩の人たちと話している。
この距離だったら聞こえないだろうし、言いたいことをとことん吐き出す事だろう。
「仕方ないですね……。時間が許す限りは聞いてあげますよ」
この人も新撰組を引っ張るために『色々と』気苦労を背負っている。
平隊士や平助たちに軽く話せることじゃあないしね。