浅葱の桜
終わりの刻
「じゃ、失礼しま~す」
「おう! わざわざ手伝ってくれてありがとな!」
「お役に立てたのなら幸いです!」
料理番の隊士の手伝いを終えた私は手ぬぐいで手を拭くとその場を後にした。
皿の場所は私が把握しているものは少ないので、居たらかえって邪魔だろう。
……結局、沖田さん戻ってこなかったな。
夕餉はこっちで食べるものだと思っていたんだけどな。
沖田さんの分は食べ盛りの隊士の胃の中にすぐ消えてしまったので、もうない。
ま、この時間に帰ってくるんだからとっくに済ませてるんだろうけど。
部屋に置きっぱなしのお菓子も無駄になっちゃうのかな。
一応涼しい場所には置いてるけど、生ものだし日持ちするものじゃない。
皆さんに配って、更に欲しい人にあげても沖田さんにあげる分は十分だった。
あの量なら私にも食べられるし、いっそ食べてしまおうかな。
でも、もう既に私は沢山もらっちゃったしな~っ。
ううう……。悩む。
部屋に戻っても、そのお菓子の入った包と睨めっこするだけで手をつけることはできなかった。