絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅴ

1月12日 告白した場所での再会

1月12日

 予定通り退院をして、自宅で落ち着いてから携帯電話を見ても分かることは特になかった。

 巽との電話のやりとりはあるにはあったが、メールは何もない。

 それよりも四対とのメールのやりとりがダントツに多かった。ただ、会話の内容はあまり見ていない。

 結局、烏丸が言っていたように、巽と婚約しながらも四対にうつつを抜かしていたということを肯定するだけだから。

 会社関係のメールもあるにはあったが、佐伯や西野などのメールは全くなく、ルームシェアしていたレイジやユーリもどうなったのかまるで分からない。

 ただ分かっているのは、阿紗子が死んだということだけ。

 まだ、受け入れられてはいない。

 言葉としては分かるが、それを考えるのは後にしようと思う。

 佐伯や西野などとも連絡をとりたいが、それも、なにがどうなっているのか確認してからの方がいい。

 どう考えても、あの2人が見舞いに来ないということはこの5年で何かあったに違いない。

 ならば、おそらくそれを知っている人物、宮下に聞くのが一番だ。

 携帯に電話をかけると、それとは別件で有給や休職の話をすぐに出してくれ、向こうもこちらと話をしたかったようですぐに会う段取りがつく。しかし、中央ビルの懐石料理という落ち着いた店で会おうとは……宮下もこの5年で年をとったということか。
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