白い月
日常風景
学校は好きだ。
皆が同一であることを求められる場所では、僕という個人の存在を薄められるから。


「真琴。おはよー」

朝から人の家の前で、チャイムを鳴らすこともなく待っていた親友は朝でも元気だった。
「おはよう……。宏哉」

対して僕は朝に弱いため、暗い声だが、宏哉は気にすることはない。
宏哉と僕は幼馴染みだが、世の幼馴染みに聞きたい。

高校生になっても、待ってまで一緒に学校行くのだろうか?

…大抵の人はNOだろうな。
まだ寝ている頭は放っておいて、足を動かす。

「なあ、今日って数学は小テストだっけ?」
「関数についてだったはずだけど。宏哉、部活は?」

ん?と声を漏らし、わざとらしく宏哉は笑う。
確か宏哉は運動部に所属していたはずだ。

「サボった。朝練なんて面倒だし、真琴と学校行けないじゃん」
「宏哉って、もしかしたら馬鹿?」
「あ、ひでー。いーじゃん、親友を大事にしたってよ」
「訂正する。宏哉は馬鹿だ」
「うっわ。今日機嫌悪い?」
「別に」

鞄を持ちかえる。
左腕の少し大きい時計が下に動く。

宏哉が、こちらを睨むようにして見ていた。
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