強制結婚 ~石油王の妻にさせられた私~
結婚か、さもなくば死か
「だめ、そんな…」

ためらう私の頬を、ジャミールの指が優しく撫でる。
これしかないと分かっていても、まだ、決心がつかないでいた。

「だが由香、これ以外にお前を救う方法はない」
「でも、そんなことを言われても……」

ここは会社の応接室。
お茶はもう出したし、しばらく誰も来ないのはわかっている。
でも、壁の向こうには同僚が――

「いいから由香、キスのときには目を閉じて……」

ジャミールの顔が近づいてくる。
彫りの深い端正な顔立ちについ、見とれてしまいそうになる。
でも、いくらジャミールが素敵な人だからって、今日出会ったばかりの相手とセックスだなんて……。

泣きだしたい気持ちになりながら、私はいきさつを思い出していた。
いったい、どこで間違えてしまったんだろう――
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