探偵の彼に追跡されて…
就職浪人終了…
この事務所に持ち込まれるほとんどが同僚との不倫やホステスやホストとの浮気調査だ。

この世の中、政略結婚や親の言いなりで愛のない結婚をする人も稀には居るだろう。

まあそれはお金持ちの人達の間の事で、一般庶民にはまず関係ない話だと思う。

ほとんどの人は、結婚する相手を愛し互いに思い合い命の絶える時まで添い遂げると信じて結婚するだろう。

だがそれをいつしか忘れてしまう人がいる。

いつ、どの時点で忘れてしまうのだろう。

いや忘れたふりをしているのか?

なぜ、道を間違ってしまうのだろう。

穏やかな生活に飽きてしまう?

隣の芝生は青く見えると言うが…

初めは刺激を求めるだけの筈がいつしかのめり込み妻や夫を裏切り、

『残業で遅くなる』 

『接待ゴルフだから』

『大学時代の友達と食事に』 

『親友の×××と旅行に』と妻や夫に嘘をついて出掛け浮気相手に会うようになる。

妻や夫にバレないうちに浮気相手と別れて家族の元へ戻れば良いのだが、それが出来ず家族や仕事を失ってから自分の愚かさに気が付くのだ。

勿論、家族や仕事を失ってもその後不倫相手と幸せになれれば良いのだが、まず幸せになる事は少ない。

相手に家庭が有る事を知っていて付き合う男や女は家族に捨てられ仕事を失った相手に魅力など感じなくなる。

結局浮気相手にも捨てられる事になるのだ。

また反対に

『妻とは家庭内別居している』

『今、離婚調停中だから』

と、言って奥さんの居る家に帰って行く男は本気ではない。

浮気をするなら相手が本気なのか遊びなのか見極めて付き合わないと後で後悔する。

まぁどちらにしてもリスクが高い事は間違いないと言える。そんな人達を私はこの5年沢山見て来たのだから。

そう私は浮気調査を主にする事務所で働いている。こんな仕事をしていると結婚に対する夢も希望も無くなってしまう。


私だって5年前までは結婚に夢を見る乙女だったのに…


いつの日か白馬に乗った王子様が私を迎えに来てくれると信じていた。『白馬の王子様』はちょっと痛い娘かも知れないが……

素敵な人と愛し合って結婚をし

『子供は君に似た女の子が良いな』

『私は、貴方に似た男の子が良いわ』

『じゃ、沢山子供をつくろう?』

なんて言って少しづつ増えていく白髪や皺をも愛しく思い命が絶える時まで互いを愛し添い遂げるのだと信じ結婚にも憧れていた。

そう5年前までは…





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