窓ぎわ橙の見える席で
2 運命の再会ってやつかしら

変人先生



「えー!じゃあ変人先生ってつぐみちゃんの同級生だったのー!?ビックリねぇー!」


涼乃さんの驚いた声が厨房にこだまする。
「おい、まだお客さんいるだろっ」というオーナーの声は完全スルー。
興奮した様子の涼乃さんに合わせるように、バイトの空良ちゃんが足早にホールから駆けてきてカウンター越しに厨房を覗き込んできた。


「うそっ!?なになに?変人先生の同級生!?」

「こらー、空良ちゃんまで!」

「いいでしょ、あんただって興味あるくせに」


やいのやいの騒ぎ立てる3人の会話に入れない私。
おかしいな、この話って私のことじゃないのかしら。


かと思えば、厨房の奥で洗い物をしていた仁志さんがニヤリと笑みを浮かべてこちらを振り返る。


「私の予感が当たったわね。同じくらいの年じゃないかって最初に言ったのは私よ!」

「なにー!仁志さん、それは聞き捨てならんな!つぐみちゃんと先生を一番最初に引き合わせたのは俺のようなもんだ〜」

「ストーップ!ストーーーーーップ!」


止まらない雑談。
いい加減やめてくれという思いから声を上げて会話を両断する。
仁志さんとオーナーが目を丸くして私を見つめた。


「いいですか、同級生同士の再会なんてどこにでもあります!実際ここに帰ってきて他にも沢山の同級生と再会しました!その一部です、あの先生は!」


パンパンと手を叩いて気合いを入れ直した私は、ニッコリ微笑んでみんなをぐるっと見回した。


「……ということで、仕事に戻りましょう」

「は、はーい」


鬼気迫る私の表情に押されたのか、その場にいた全員が素直に返事をして持ち場に戻っていく。
ちょっとホッとした。


< 34 / 183 >

この作品をシェア

pagetop