イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
■3rd STAGE■

恋に不器用なオンナ達



田沼部長が懸念していたホテルへの配送は順調に終わり、その時の迅速な対応が功を奏して、ホテル側が新たに当社との契約を結んでくれることになった。

部長はきっと、こうなることを見越して引き受けたのだろう。この件以来、私は仕事面で彼をさらに尊敬するようになっていた。

プライベートでは……相変わらず予想外の言動で翻弄させられているけれど。


部長のマンションにお邪魔したあの日は、あれからちゃんと私のアパートまで送ってくれて、何事もなく終了。

それから一週間が経つ今日までの間に、一回だけ家に上がった。この時も、たまたま帰る時間が同じになって、『書類が溜まったデスクの整理整頓するのを手伝ってくれ』と彼に頼まれたから。

前回は見なかったもうひとつの部屋に案内されると、たしかに書類が乱雑に積まれていて。いらないものを捨てたり、大事なものはファイルに綴じたり、これはもはや残業では?と思うくらいの作業をさせられたのだった。


だから今のところ、私が自発的に“結婚願望を持たせるための作戦”は行っていない。

これと言って思い浮かばないんだもの。どんなことをすれば、彼が結婚を意識してくれるか、なんて。

あー……最初は部長の女除けのために始めた関係だったのに、今や私の婿取りのためになっている……なんてこった。

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