クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜
1、不安だらけの転勤
その光景は今でも鮮明に覚えている。

微かに開いているドアの隙間から話し声が聞こえて、気になった私はその隙間から部屋を覗いた。

『どうせ付き合うなら永遠君にすれば良かった。あの人、他の女と浮気したのよ。だったら私も浮気しちゃおうかな?』

その女性は少し拗ねた口調で言いながらも、頬を緩めた。

半分冗談で、半分本気のような声の響き。

目鼻立ちのはっきりした綺麗な顔。腰まである絹の糸のように綺麗な茶色い髪に日本人離れした細長い手足。

優しくて頭が良くて誰からも好かれた彼女は、ずっと私の憧れだった。

でも、今の彼女は私が知らない女の顔をしていた。

男を虜にする魔性の女のような……。

『文句は本人に言ったらどうですか?』

永遠がフーッと溜め息を吐きながら冷ややかに返す。

『嫌よ。あの人に仕返ししてやるの』
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