Four you ~2+2=4=2×2~

第6話~かくれんぼ~

「…それから、あともう一人いるはずなんだけど…」

耶色先輩が辺りを見回す。

「あっ、清瀬さんは遅れてくるって。いつもみたいに、先生に質問でもしてるんじゃない?」

尾張先生が少し困ったような表情をする。

「…清瀬さん…?」
「このCLUBのMEMBERの清瀬結衣(キヨセ・ユイ)ちゃんネ! まあ二年生だから、皆にとっては先輩だけどネ!」
「結衣ちゃん、すっごくマジメでさ。成績優秀だし、体調不良とかも全然ならないし、人間性だけで言ったらボク、余裕で負けちゃうよ~…」
「ここに入ったのも、恐らくここが進学校だからでしょうね。それか、あたしのカリスマ性に惹かれてか…」
「アハハ…」

尾張先生の眉毛がますます下がる。どうやら先生も、財前先輩の扱い方には少々困っているようだ…。

「…まぁすぐに来るだろうし、もう部活始めちゃお~! …皆、六月の最初に文化祭があるのは知ってるよね?」

入学前の説明会で、六月上旬に文化祭が行われることは知っていた。全寮制のうまみはここでも活かされるらしく、準備期間を長く取れるため必然的にクオリティが上がり、両里高校の行事の中でも最も盛り上がるのだそうだ。

「今日の部活では、文化祭でやる劇の台本の方向性を決めたいと思いま~す!」

先輩達は「もうその時期か」というような顔をしていたが、新入部員の私達には何一つピンと来ていなかった。

「…方向性…?」
「YES! このCLUBでは、MEMBERで台本を作るのがRULEになってるんだ!」
「あたし達で作った方が、あたし達も自然に演技ができる、というわけよ」
「でもちょっと手こずりそうなんだよね~。去年は台本作りが上手な先輩がいたから楽だったんだけど、今年からはボク達が作らないといけないから…」

直感的に、私の喉が震えた。
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