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出張から帰って、休日明けの月曜の朝。

7月上旬の青空の下、汗ばむような日差しを避けて日陰を歩き、15分ほどで会社に着いた。

社屋に入ると、少し緊張する。

今日から高飛車な態度を止めて、素顔のままで生活する……それが横山くんとの約束で、今朝届いたメールにも『大丈夫だから、そのままの紗姫を皆んなにも見せてあげて』と書かれていた。

見慣れた景色と社員の顔。
いつもと同じタイムスケジュール。

なんの変哲もない社内に私だけが新鮮な気持ちで階段を上り、自分の部署へと続く2階の廊下を歩いていた。

ライフサイエンス事業部のドアが見えてきた時、後ろから歩いてきた男性社員に追いつかれる。

「紗姫さん、おはよう」と声をかけてくれたのは、一年先輩の谷さん。

谷さんは横山くんの取り巻きの中にいつもいる人で、過去に一度だけ私を食事に誘ったことがある。

「おはようございます」と会釈をつけて挨拶を返し、その後に少しだけ微笑むと、彼は驚き戸惑っていた。

「なんか、いつもと感じが違うね……」

そう言われた途端に顔が赤くなるのを自覚する。

まだ挨拶だけなのに、そんなに違う私に見えるのだろうか……。

ツンツンした態度を取らなくていいのは、心が楽。でも、そういう反応をされてしまうと、恥ずかしくなる。

それで、赤い顔を隠すように俯いて「そうですか……」と曖昧に答えた後、逃げるように部署内に足を踏み入れた。

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