Last Letter~手紙がくれた想い~

突然の手紙






『木村、ここ教えて!』

数学の授業が急遽、自習になった。



「お前、こんな問題も解けねぇの?」

隣の席の村瀬は俺を睨む。


だってこれ、基本中の基本だぜ??


『あんたみたいに頭、よくないんですぅ~

頭悪くてすみませんねぇー!!』

村瀬はそう言ってそっぽ向いてしまった。


「いいんだ?教えなくて。

分かんないんじゃなかった??」

村瀬は俺の言葉を聞いてそっとプリントを差し出す。


「で、どこが分かんないんだっけ??」


俺は女という生き物そのものが苦手。


それなのに、村瀬だけは普通に接することができた。

俺自身、どうしてそんなことができたのか分からない。



ただ1つ。


村瀬と他の女には大きく違うところがある。


俺に近寄ってくる女はみんな、色気をつかってくる。



『木村、そこどいて!』

これは村瀬と俺が初めて言葉を交わしたときだ。


俺がロッカーの前に立っていると村瀬はやって来た。

そう。村瀬は他の女とは違ったんだ。


色気なんて言葉、知らないかのようで


女にも男にも言葉遣い、態度は変わらず…



そうか、これだ。


村瀬は誰にでも同じ態度だから、俺も普通に接しれるんだ。


あぁ…謎が解けたぞ。






< 28 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop