恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
魔法を解かないで


知美の厳しい追及から逃れ、自宅でひといき。

めまぐるしい一日だった……。

何度もスマホを見るけど、一成からの連絡はない。

仕方なくお風呂に入って、スキンケアをして、眠れなくてもとりあえずベッドに入ろうかなと思っていたとき。


──ブーッ、ブーッ


スマホが鳴って、驚きで飛び上がりそうになった。

ディスプレイには一成の名前が表示されている。

一気に緊張して汗ばむ指で、画面をスワイプした。


「はい、白鳥です……」


名乗ると、一拍遅れてあちらから低い声が聞こえてくる。


『俺だけど』


ごくりと唾を飲み込む。すると、それを待っていたように一成が話しだした。


『さっきはごめん。話があるんだ。今から会えないか』

「今から?」


時計を見ると、既に二十三時を回ろうとしている。

今から着替えてメイクをし直して……だと、かなり遅くなってしまう。

でも、会いたい。


「今どこにいるんですか?」


終電って何時だっけ?

部屋のなかで立ち上がり、壁かけ時計を見ると、ごほんという咳払いの音がスマホの向こうから聞こえてきた。


< 191 / 286 >

この作品をシェア

pagetop