その男、猛獣につき

猛獣使い、覚醒

「何やってんだよ、主税」

 

「何って、台風が心配だから一緒に居ようと思って…」

 

「それで、何もなかったのか？」

 

「何もない、なにも」

「それでも男かよ。主税…」

敦也が呆れた声をあげる。

 

こいつにだけは有田とのキスの話なんて絶対に出来ない。

 

車椅子バスケの練習が中止になったこともあり、敦也の家に夕飯を食べに来たら話の流れはいつの間にか有田の話題になる。

 

「そもそも、主税は舞花ちゃんの気持ち知っているわけだろう？」

「あぁ…」

 

敦也から手渡された冷たい缶ビールをゴクリと喉に流し込む。