四百年の誓い
 「やっぱり大村さんの温もりを感じていていると、癒される」


 美月姫をそっと抱き寄せた優雅は、満ち足りた表情でそうつぶやいた。


 「穏かな鼓動と心地よい体温。このまま溶けてしまいたい」


 その言葉の後、優雅は瞼を閉じ、再度美月姫を強く抱きしめた。


 「もう二度と、触れられることはないとあきらめていた」


 「私も……」


 美月姫は一言口にして、優雅に頬を寄せた。


 お互いどちらからともなく近づいて、強く抱き合った。


 時を忘れるくらいに。


 これまで離れ離れの時を埋めるかのように。


 そして二人を祝福するかのように、満開を迎えた桜の花びらが、二人に降り注ぎ始めた。
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