あなたの愛に深く溺れてしまいたい
*まさかの展開
「前田、コピー頼む」

「はい!」


あれから、どのくらいの日数が経っただろう。


松谷課長とは、相変わらず身体だけの関係をもっていた。


柴咲課長も、あれから何も言ってこないし、私が高梨部長に呼ばれることもないから、黙ってくれているのだろう。


ただ、柴咲課長は私ではなく、前田ちゃんに仕事を頼むようになった。


コピー、資料作成、その他諸々……外回りも何度か行くのを見届けた。


きっと私が使えなかったから。前田ちゃんは若いし、のみ込みも早いから私は外されたんだろう。


べつにそれでいいと思ってた。未来はないけど、松谷課長が傍にいてくれる。


セフレでいい。いつも私のことを〝可愛い〟と言ってくれて、それだけで私の心は満たされていた。


愛はなくても、その時だけは私を見てくれる。


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