あなたの愛に深く溺れてしまいたい
*あなたに溺れる時
少し時間をあけてから、部署に戻ると、前田ちゃんはもう戻っていた。


「前田ちゃん、さっきはごめんなさい…」

「先輩!」


私の声を聞いて見上げた前田ちゃんは椅子をガタンと倒した。


「あのさ、今日仕事終わったら少し時間あるかな…?」

「はい!もちろんです!」

「ありがとう。じゃあ、あとで…」


あんなに取り乱しておいて、なにも話さないなんて無理だと思った。


だから、前田ちゃんには話そうと思う…。


「あ、そうだ。私のお金。今、払うね」


すっかり忘れてた。柴咲課長に連れ出されて、お金のことなんかスッカリ頭になかった…。


だからお財布を出して、千円札を抜き取ろうとしたんだけど、前田ちゃんがそれをとめた。


「先輩、あの、高梨部長が出してくれました。先輩の分も」

「え?高梨部長が…?」

「はい。今日は俺のおごりだ、って」


あー、部長にまで多大な迷惑をかけてしまった…。


あとで、きちんとお礼をしないと…。


< 69 / 99 >

この作品をシェア

pagetop