コトンと小さな音がした。

本棚から一冊、本を抜くと横に倒れて壁に当たる音。

もう三段ある本棚には本を仕舞うスペースがなくて、ぎちぎちに並べられている。
そのせいで、一冊でも取りだすと、解放感から本が横へ飛び出していく。


彼と一緒にはまった小説は、さっさと思い出に変えてクローゼットの中に片付けるか売れば良かった。

それが出来なかったのは、思い出なんかにしたくなかった私の弱い心のせいだと思う。

私の部屋の本棚は、溢れんばかりの彼との記憶が詰まっている。

気を緩ませたり管理を怠ると、飛び出してくる。


「んっ」

ベッドのシーツに肌を擦らせながら寝返りを打つ。


一瞬、太ももまでシーツの肌さわりを感じ、自分がどんな服装で眠っていたのか分からずに目を開けた。