唯一の愛をキミに【完】
彼女と繋いだ小さな手
「唯ちゃんと付き合うことになったんだ?へぇ」


律の店のいつもの席に座り、唯のバイトが終わるのを待つ。


だけど律が面白そうにからかってくるから、やっぱり外で待っていれば良かったと少し後悔した。


「……うるせぇな」


「ふふっ、照れてる。哲でもそんな顔するんだね」


そんな顔って、どんな顔だよ。


心の中で悪態を吐きながらコーヒーを喉に流し込む。


「ただいま戻りました」


カランカランと入り口の扉が開いた音が聞こえ振り返ると唯が大きなビニール袋をふたつ抱え込みながら入ってきた。


「唯ちゃん、おかえりなさい。お疲れ様。頼んでたものすぐに見つかった?」


「はい。大丈夫でした。律さんが丁寧にメモに書いてくれたからすぐに……上原くん!?」


唯は俺に気付いて目を見開いて驚きながら一瞬フリーズした。


もう彼氏彼女の間柄なのに唯はいつまで経っても新鮮な反応をくれる。
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