花盗人も罪になる
常識と価値観の違い



近所のファミレスで食事をした後、家に帰って少しすると希望は絵本を読みながら眠ってしまった。

逸樹は希望を昼寝布団に寝かせ、そのあどけない寝顔を眺めながら紫恵のことを考えていた。

公園で香織に尋ねられた時、紫恵のことを誰よりも愛していると答えた。

後になって、部下相手に何を言っているんだとかなり恥ずかしい気もしたが、紫恵を想う気持ちに嘘はない。

もう二度と、自分のせいで紫恵を泣かせたり悲しませたりしたくない。

紫恵にはいつもすぐそばで笑っていて欲しい。

子供がいようがいまいが、この先の長い人生を共にしたいと心から思う相手はただ一人、紫恵しかいない。

紫恵が不安を拭えないなら、安心できるまで何度でも愛してると言って抱きしめようと逸樹は思った。



その頃紫恵は、高校時代から仲の良かった友人たちと集まっていた。

レストランで食事をして、食後のコーヒーを飲みながら近況を報告し合う。

綾乃(あやの)は結婚4年目の専業主婦で、夫はふたつ歳下、2歳の男の子ともうすぐ1歳になる女の子の育児に奔走中。

春菜(はるな)は大手文具メーカーに勤める独身OLで、自他ともに認める恋多き女。

そして紫恵の一番の親友の(けい)はインテリアデザイナーで、同じ仕事をしている彼氏と同棲中。

高校時代はたいした差はなかったが、30歳にもなると、それぞれの置かれている環境はさまざまだ。


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