サヨナラケイジ
私の名前を何度も呼ぶ声。


抱きしめられた感覚。


混乱する記憶の中、結城が耳元で、

「大丈夫だ。もう大丈夫」

と、ささやくような低い声だけが聞こえていた。




そして、気づくとたくさんの警察官が屋上にいた。


寺田の死体のまわりを青いビニールで覆う姿。


写真をとる姿。




どれもあやふやで、写真で見たかのようにしか覚えていなかった。




























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