御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
御曹司、失恋秘書を見失う

 金曜の夜の最終便のせいだろう。

 いかにも出張帰りのサラリーマンといった男性の群れの最後を、トボトボとついて歩いていると、空港の待合室で手を振るしのぶの姿が目に入った。


 Tシャツにジーンズ、そしていつもの前掛け姿だがスタイルが良く顔立ちが派手なので、まるでモデルのように目立つ。


「美月!」
「しのぶちゃん!」


 なぜか異常に懐かしくなり、駆け寄るとそのままグワッと抱きしめられた。


「ちょっ、くるしっ……こないだ会ったばっかりじゃないっ……!」
「だーって、昔は毎日顔わせてただろ? なんか変な感じするんだよなぁ」


 確かにしのぶの言うとおりだ。
 あまりにも長く一緒にいすぎたせいか、一週間も顔を見ないと変な気持ちになるのだ。


「仕事の途中だった?」


 駐車場に停めていたのは、清水酒店の名前が入った配達用のハイエースである。


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