イジワル同期とスイートライフ
異常事態発生
目覚ましだと認識するより一瞬早く、その震動は止まった。
背後で、「やべ」と小さな声がする。
ふっと肩のあたりが軽くなって、同時に冷たい空気が肌に触れ、私は抱きしめられながら眠っていたことを知った。
振り向くと、携帯を手にした姿と目が合う。
「はよ」
「…おはよう」
「悪い、シャワー借りていい? 家戻る時間なさそうだわ」
気だるい空気に、漂うアルコールの気配。
頭を整理するために、数瞬だけ腕に顔を押しつけた。
「下のコンビニがワイシャツとか置いてるの。浴びてる間に一式買ってきといてあげる」
「マジか、助かる」
「なにかほかにいるものある?」
訊きながら身体を起こすと、下半身が心もとない。
Tシャツ一枚で寝ていたらしい。
似たような具合で、ボクサーパンツ一枚で寝ていた彼は、控えめなあくびをしながらぼんやりと私の部屋を見回した。
「歯ブラシ、洗顔…、ワックス、固めのやつ」
「シェーバー?」
「や、それは会社に置いてるからいいや、俺、薄いし。ここから通勤どのくらい?」
「ドアツードアで25分」
「近いな」
ほっとしたように笑う。
私はベッドから出て、外出できる程度の身づくろいを始めた。
後ろで彼も、ベッドを降りる気配がする。
「タオル出すよ」
「サンキュ」
「シャンプーとか適当に使っちゃって」
「ん」
手渡したバスタオルを、少しの間ふたりで持ったまま、なんとも形容しがたい沈黙が下りるのを意識した。
後悔、でもない。
気恥ずかしさなんかでもない。
しいて言えば…疑問?
背後で、「やべ」と小さな声がする。
ふっと肩のあたりが軽くなって、同時に冷たい空気が肌に触れ、私は抱きしめられながら眠っていたことを知った。
振り向くと、携帯を手にした姿と目が合う。
「はよ」
「…おはよう」
「悪い、シャワー借りていい? 家戻る時間なさそうだわ」
気だるい空気に、漂うアルコールの気配。
頭を整理するために、数瞬だけ腕に顔を押しつけた。
「下のコンビニがワイシャツとか置いてるの。浴びてる間に一式買ってきといてあげる」
「マジか、助かる」
「なにかほかにいるものある?」
訊きながら身体を起こすと、下半身が心もとない。
Tシャツ一枚で寝ていたらしい。
似たような具合で、ボクサーパンツ一枚で寝ていた彼は、控えめなあくびをしながらぼんやりと私の部屋を見回した。
「歯ブラシ、洗顔…、ワックス、固めのやつ」
「シェーバー?」
「や、それは会社に置いてるからいいや、俺、薄いし。ここから通勤どのくらい?」
「ドアツードアで25分」
「近いな」
ほっとしたように笑う。
私はベッドから出て、外出できる程度の身づくろいを始めた。
後ろで彼も、ベッドを降りる気配がする。
「タオル出すよ」
「サンキュ」
「シャンプーとか適当に使っちゃって」
「ん」
手渡したバスタオルを、少しの間ふたりで持ったまま、なんとも形容しがたい沈黙が下りるのを意識した。
後悔、でもない。
気恥ずかしさなんかでもない。
しいて言えば…疑問?
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