イジワル同期とスイートライフ
あの強引な交際宣言から、早くも二週間が経過した。

どうなることかと思ったものの、案外私たちは、ごく普通の、おつきあいしていますという男女の様相を呈している、と思う。

要するに、時間が合えば会社帰りに飲んだり、そのままどちらかの部屋に行ったり、そういう感じだ。


二度あった週末のうち、最初の金曜日は彼が再び私の部屋に泊まり、翌土曜日は予定があると言って、朝のうちに帰っていった。

その次の金曜日は、私が彼のマンションに泊まった。

翌日は私のほうが夕方から予定があったため、お昼を一緒に食べたあたりで帰ってきた。


同じ部屋にいるときは、泊まる泊まらないにかかわらず寝た。

三回目までは数えていたんだけど、それ以降はやめてしまった。

久住くんの家は、偶然にも私の家と同じ路線上にある。

会社からは彼の家のほうが遠く、そのため今のところなんとなく、私の部屋で過ごすことのほうが多い。

三度目の金曜日である今日も、こうして彼は私の部屋にいる。



「寝よ」



きりのいいところで仕事を終えると、久住くんはPCを閉じた。

ベッドに上がりながら、私を振り返る。



「明日、俺、あいてんだけど、どっか行く?」

「どっかって?」

「さあ…六条はいつも休みの日、なにしてんの」



改めて問われると、なかなか答えづらい質問だ。

髪をほどいて寝る準備をしながら、うーんと考えた。



「予定がないときは、家でじっとしてるかなあ」

「暗い」

「じゃあ、そういう久住くんは」

「…用事がなけりゃ、寝てるかな」

「変わらなくない?」



隣に潜り込む私をすぐに抱き寄せて、首筋に顔を埋めてくる。

その身体は熱っぽく、職場でのどちらかといえばクールな姿を見慣れていた私は、彼のこういう一面に、最初わりと驚いた。

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