イジワル同期とスイートライフ
「いっ…」

「吾川くん、この間の件て解決した?」

「うん、したした、ありがとう」



恨みがましい視線は無視する。

つきあいを公にしていない以上は、余計なこと言わないでいただきたい。



「ついでに六条さん、こいつにも参加するよう言ってよ」

「えっ?」

「あ、頼んでた件て、合コンなんだけどね」



中華食堂に腰を落ち着けたところで、吾川くんがにこにこと言った。



「うん、それは…聞いてる」

「俺、幹事だからさ、それなりにいいの連れてかないと女の子に悪いじゃん」

「久住くんて、"いいの"なの?」

「え、六条さんはいいと思わないの?」



水を注ぐのに集中しているふりをして、やり過ごした。

対面のふたりにグラスを配ると、久住くんがちらっと私を見て、満足げに笑う。

私が困っているのを楽しんでいる。

こんなに早く仕返しの機会を与えてしまったのが悔しい。



「俺的には、久住は合コンメンツとしては75点かな」

「なんだその微妙な点数」

「だってお前、盛り上げないだろ。第一印象には貢献するけど、その後がマイペースすぎるから減点」



本人的には75点は低かったらしく、あっそ、と不機嫌に言って水を飲む。



「ほら、そーいうとこ。協調性ないんだよ久住は」

「なんで合コンに協調性がいるんだよ」

「お前! 合コンはチームワークなんだからな。ひとりに勝手されたら残りが迷惑するんだよ」



隣のテーブルの女性3人組が、ひそひそしながらこちらを見た。

ふたりは気づかず、合コン談義を続ける。

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