イジワル同期とスイートライフ
「…六条?」

「あ、ごめんね、起こして」

「なにやってんの」



眠そうな声を出して、上体を起こす。

見つけた下着を引っ張り出して、言い訳めいた気分で答えた。



「あの、電車あるうちに帰ろうと思って」



じっと私を見ていた久住くんが、やがてまた身体を倒した。

寝心地が変わったのが気になるらしく、枕に顔を押しつけて、ベストポジションを探している。



「久住くんは…?」

「俺はここで寝てく」



ずきっと胸に痛みが走った。

そうだよね、もう私に用はないものね。

そんな卑屈な思いが湧くのが嫌で、早く帰ろうと枕元の腕時計に手を伸ばしたとき、巻いていたバスタオルを鷲掴みにされ、勢いよくベッドに倒れ込んだ。



「痛!」



久住くんの胸に顔を打って、思わず鼻を押さえて呻く。



「ちょっと、なに…」

「お前も朝帰るんでいいだろ」



ぎゅうと抱きしめられて、息がもれた。



「あ、なんかある? 立ち寄りとか」

「…ううん」

「じゃ、寝ようぜ」



満足したように私の頭を叩いて、さっさと寝てしまう。

倒れ込んだままの半端な体勢だった私は、拘束している腕が緩むのを待ってから、彼の隣に横になった。


胸の音を聞きながら考えた。

もうごまかしようもないから言うけどね、久住くん。

私たぶん、あなたを好きになった。


これからどうしよう?


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