愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
(さゆみ……)



そんなに強い気持ちを持ってるんだ…
すごいよ…
たとえ、遊ばれても良いなんて…
私、そんなこと、絶対に思えない…



「だからね……」

「え?」

「だから、瑠威の気持ちはすごく嬉しいけど…
たとえ、あんたが反対したとしても、私は諦めないよ。
やれるだけのことはやる。
……それでだめだったらキッパリ諦めるけど、でも、まだ始まってもいないからね。
あ、一応、告白はしたか…」

「お、応援するよ!
私にはたいしたことは出来ないと思うけど…でも、さゆみのこと、応援するから!」

「ありがとう。頑張るよ!
あ…長い間しゃべっちゃったね。
じゃあ、明日、学校でね!おやすみ。」

「うん、おやすみ。」



電話を切った後も、なんとなく気持ちがざわざわしたままだった。
さゆみの情熱に、なんとなく押されて…



私は、まだ誰のこともそこまで深く好きになったことがない。
だから、好きな気持ちがよくわからない。
もう成人式も済んだのに…私って、未熟過ぎ…!?
なんか、寂しいよ。
そこまでだれかを好きになってみたい…
でも…傷付くのはやっぱりいやだ。怖いもん。



だったら、やっぱりバンドの人はだめだよね。
普通の人を探さなきゃ…



(普通の人…か…)



世の中には、バンドの人より普通の人の方がずっと多いのに…そういえば、そういう人に目が向いたこと、なかったな。
なんでだろ…おかしいな…



そんなことを考えながら、私はいつの間にか眠りに就いていた。

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