愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
気合い入れて頑張ります!
***



「ちょっと、あんた…待ちなさいよ!」

棘のある声に、私は恐る恐る振り向く。



あ、あの人だ…!
会場の傍で声をかけられたあの人…
シュバルツの大ファンっだってママが言ってたあの人…



「わ、私ですか?」

「とぼけてんじゃないよ。
今度は逃がさないよ!こっちに来なって!」



ど、どうしよう!?



女の人が、私の腕をつかんだまさにその時…



「ちょっと、君…僕の彼女に何してくれてるん?」

「えっ!?」

そこにはキースさんがいて、女の人の手を振り払ってくれた。



「ヅラ子、大丈夫か?」

「え?は、はい。」

キースさんは私を見て、にこりと優しく微笑む。



「ちょっと待てよ、キース…
俺の女に手を出すなよ。」

「え?」

振り返ると、そこにはリクさんがいて、キースさんのことをきつい視線で睨んでた。



「なんやて?あほなこと言うなや。
ヅラ子は僕の彼女や。」

「馬鹿言ってんじゃないぞ。
ヅラ子は俺の女だ!」

二人は顔を突き合わせてにらみ合い、今にも喧嘩しそう…



「ははは…」

明るい笑い声にびっくりして、声の方を見てみれば、そこにはオルガさんがいて…



「君たち、何言ってるんだ?
ヅラ子は俺と付き合ってるってこと、知らなかったのか?」

「はぁ?オルガさんこそ、頭、どうかなっちゃったんじゃないですか?
ヅラ子は俺の女ですよ。」

リクさんとキースさんが、怖い顔してオルガさんの方へにじり寄って行く。



「つまんないこと言ってんじゃねぇぞ。
ヅラ子は、俺の彼女だ!」



(る、瑠威!?)



瑠威がオルガさんの顔に強烈なパンチを放った!
オルガさんは、バランスを崩してその場に倒れ込んだ。



「く、くそぉ!やりやがったな!」



オルガさんが立ち上がり、瑠威に飛びかかって行く。
そこにリクさんとキースさんと、今までいなかったはずのクロウさんも参戦して、みんながごちゃごちゃになって喧嘩を始めた。



「や、やめて!
私のことで争うのはやめてーーー!」



私は、半分泣きながら、精いっぱいの声を張り上げた。


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