「春希?もう寝たの?」


規則正しい呼吸の音が聞こえるから寝たのだと思いつつそう聞くと、やっぱり返事は返ってこない。


俺の腕の中にいるその顔を覗きこめば、あどけないかわいい寝顔が目に入り思わず笑みが溢れる。


俺にすがるように泣いていた春希を思い出してハアッとため息をつく。


ほんと、ここまでの道のりは長かった。


七年前の入社式の日に、駅で転びそうになった春希を偶然助けた。


俺を見上げた春希が、ヤバイくらいに俺の好みで。


色が白くて、瞳が大きくてキラキラしてて。うっすらピンク色の頬とぷっくりした唇がかわいくて。


あどけないのに、どこか芯の強さを感じる瞳に俺は見とれてしまって名前とか連絡先とか聞きたかったけど、入社式の日にナンパすんのもされるのもどうかなと思って聞くのやめた。