熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
第11話「現実と妄想のはざ間」
一時は、もう完全に終わったとさえ思えたみさきちゃんとの関係、航平くんとの関係、そしてが落雷で消滅してしまったケータイ小説のデータさえ、みんな元通りに修復されて、これからは毎日楽しい学校生活が待っている……はずだった。


あたしの通う海乃中学では毎年9月中旬に“九月祭”という行事がある。3日間の日程のうち、最初の2日は文化祭もしくは学園祭みたいなことをやって、最後の1日で体育祭をすることになっている。


そして今日はその3日目――――


今日一日は勉強から解放されてスポーツだけをやっていればいいわけだから、ほとんどの生徒たちが、今日という日を天国のように思っていたにちがいない。毎日が九月祭ならいいのに、と思っていたかもしれない。

だけど、その日はあたしにとっては逆に地獄のような一日だった。早く一日が終わってほしい、そんなふうにさえ思っていた。

こんなことなら、昨日に続いて今日も休めばよかったとも思った。


今日のあたしの出場種目は、フォークダンス以外では、全員参加の80M走に、大縄跳び、そして運悪く“くじ引き”で当たって選手に選ばれてしまった1000M走がある。

体育祭の種目としては、ごくごくフツーのものかもしれないけど、あたし的には、なんで、こんなのばっかなの?って感じだった。
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