熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
第4話「純愛の神さま」
夏休みなのに学校に行かなきゃいけないなんて、ものすごく損した気分。

まぁ、夏休み明けに演劇部の発表会があるし仕方ないのは分かるから、ガマンはするさ、コドモじゃないし。


あたしの通う海乃中学では毎年9月中旬に“九月祭”という行事がある。3日間の日程のうち、最初の2日は文化祭もしくは学園祭みたいなことをやって、最後の1日で体育祭をすることになっている。

そのため、本来なら3年生は受験勉強に備えて、7月で部活を強制退部させられるんだけど、九月祭での公演が終わるまでという期限付きで、例外的に3年生の演劇部員も部活動を続けていた。


それにしても暑っちい! 暑すぎる!!

体育館は室内だから熱が、もわぁ~、っとこもっていて、完全に巨大サウナだった。

Tシャツに膝丈の短パン姿のあたしでさえ、暑くて汗ダッラダラかいているっていうのに、みさきちゃんはこのクソ暑い中、舞台の照明を当てられながら、あんな長袖のお姫様ドレスなんか着て、おまけに縦巻きカールの金髪のカツラまでかぶっている。

それなのに汗一つ流さないで、よく涼しそうな顔をして演技していられると思う。さすがはわが演劇部の看板女優。

あたしにはムリ。たとえ舞台に上がれなくても、一生、裏方のままでいい。

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